Sago Palm
Online ISSN : 2758-3074
Print ISSN : 1347-3972
研究・調査報告
アジア,大洋州地域におけるサゴヤシの澱粉抽出技術の比較研究
西村 美彦Laufa Terence Miro
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2002 年 10 巻 1 号 p. 7-15

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抄録
 サゴヤシはアジアや太平洋諸島のローカル地域では依然として重要な農作物として位置づけられており,根栽農耕文化圏における特徴あるサゴ農業を形成している.これらの地域におけるサゴヤシは人々の生活に密着しており,主食としての役割が重要であるが地域によって所有,消費は異なる.この農業でサゴ澱粉の加工抽出技術は地域において伝統的にそれぞれの形態を示している.本研究はこの技術の地域的な違いに着目してパプアニューギニア(PNG)とインドネシアを中心に現地調査を行い,またマレーシア等の地域については.文献,写真等の情報から技術の分布の違いを調べた.その結果,澱粉抽出技術の中で重要となるのは,収穫対象サゴヤシの伐採.サゴヤシの切り出し(ログ),髄の粉砕,粉砕髄からの澱粉抽出の4段階である.この過程のうち,髄の粉砕技術とこの髄からの澱粉抽出方法(水洗い)に地域的な違いを見つけた.PNGは髄粉砕に斧型手道具を使用し,抽出は手で洗う装置を使用する.一方,インドネシアのカリマンタン,マレーシアにかけて,髄粉砕はおろし金型道具により,抽出は足で行う装置によるという違いが確認された.また,インドネシアのスラウェシ島はこれらの地域の中間点に当たり,それぞれの技術が混在するが,南東スラウェシでは粉砕は斧型,抽出は足型という混合型となっている.PNGは伝統的にサゴは自給用主食であり,ローカル市場までの移動がほとんどであるのに対し,マレーシアでは澱粉商品としての位罷づけが強くなっている.そして,スラウェシでは主食と商品の両方の役目を果たしていることが確認できた.このことから,この技術の違いは文化的な違いも考慮する必要があるが,自給中心か商品化かというサゴの用途による違いが大きな要因であると想定され,おろし金型粉砕,足型抽出はより商品化への用途に移った形態と考える.
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© 2002 サゴヤシ学会
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