Sago Palm
Online ISSN : 2758-3074
Print ISSN : 1347-3972
研究・調査報告
サゴヤシ澱粉抽出残流の木質資源的性質Ⅰ 組織的・物理化学的性質
佐々木 靖近江 正陽冨永 洋司福田 清春
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2003 年 10 巻 2 号 p. 73-78

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抄録
 本研究では サゴヤシ澱粉抽出残渣 (以下サゴ残渣)の有効利用を目的として,木質資源的性質の分析を行った.まず,解繊したサゴ残渣試料を用いて細胞の組成及びサイズの観察を行った.その結果,サゴ残渣はほとんど柔細胞から成ることが明らかとなった(占有面積率 約 85%).また,繊維や道管の含量は低く,しかもそれらは著しく損傷 していた.これらの結果からサゴ残渣は繊維原料としては適さないことが示された.次に粉体試料としてのサゴ残渣の性質を評価するため,粉砕性・内部表面積・七ルロースとデンプンの結晶性の評価を行った.これら分析の結果,サゴ残渣は,スギと比べてはるかに粉砕しやすく,セルロースの結晶性はボールミルのような簡便な処理で低下させることが可能であり,その内部表面積は再生セルロースよりも大きいことが示された.サゴ残渣はこのような利点を持つため,利用法の一つとして化学修飾用粉体原料などに適した材料であることが示された.
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© 2003 サゴヤシ学会
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