抄録
マレー諸島に 生育するサゴヤシ(Metroxylon sagu Rottb.)の地理的分布と遺伝的距離の関係を検討するため,RAPD分析を行った.実験は,無刺16個体群,有刺22個体群を含む合計38個体群を供試材料とし,RAPD-PCRには9種類の10塩基プライマー用いた.全プライマーで合計77のPCR増幅産物が 得られ,その内72が多型であった.平均距離法によるクラスター解析を行ったところ,供試個体群は2グループに分かれた.グループBはマレー諸島東部地域から採取した個体群により構成された.一方,グループAはインドネシアのスラヴェシ島とフィリピンのミンダナオ島で採取した個体群から成るサブグループと,主にマレー諸島西部地域から採取した個体群からなるサブグループで構成された. 本結果より,マレー諸島に生育するサゴヤシ個体群間の遺伝的距離は地理的分布と関連していることが窺われた.また,葉柄・葉軸上のトゲの有無と遺伝的距離には明確な関係が見られなかった.