Sago Palm
Online ISSN : 2758-3074
Print ISSN : 1347-3972
研究・調査報告
パプアニューギニア国イーストセピック州におけるサゴ資源を活用した総合的バイオマス生産に向けた現地予備調査
入江 光輝大川原 良次村中 昭弘広田 真安部 征雄
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2010 年 18 巻 1 号 p. 19-27

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抄録
 農業生産物の需要が増大する中で、未利用地における大規模な新規農地開拓を進め、バイオマス生産力を増強することは、避けては通れない地球規模で対応すべき課題の一つとなってきている。そうした中でパプアニューギニア国のEast Sepik州は草地や氾濫原などの未利用地が多く残されており、気候的に降雨量が豊富で高温であることから将来的に農業生産基地となることが期待されている。一方で同地域がその原産地とも言われるサゴヤシは、現状では地域住民が主食として自家消費向けに小規模利用しているに留まっている。そこで本研究では、同地域におけるサゴヤシを含めた総合的なバイオマス生産基地開発について検討した。本研究では草地を開発の対象とし、衛星画像解析などによってその面積と地形的な特徴を特定した。対象地域内におけるその面積はおよそ20万haであった。地形は北部の丘陵地から徐々に勾配が緩やかになり、南部ではより平坦となり、特にSepik川氾濫原近くでは地形的に排水されにくく、雨期の湛水が懸念された。また、土壌調査を行った結果、対象地域の広くに重粘土が分布していた。こうした地形や土壌調査の結果から、対象地域をいくつかのエリアにゾーニングし、各エリアの環境条件に応じて複数の種の作物を栽培する多角的バイオマス生産基地が提案され、サゴヤシはその栽培対象の一つとして挙げられた。
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© 2010 サゴヤシ学会
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