Sago Palm
Online ISSN : 2758-3074
Print ISSN : 1347-3972
18 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
研究・調査報告
  • グスマヤンテイ エヴィ, 町田 武美, 吉田 正夫
    2010 年18 巻1 号 p. 1-5
    発行日: 2010年
    公開日: 2023/07/06
    ジャーナル フリー
     近年、サゴヤシにたいする関心がますます高くなってきており、サゴヤシのプランテーション開発も拡大してきている。このような中、サゴヤシの葉面積に関する研究は、プランテーションにおける適正な個体密度決定の観点などから、ますます重要になってきている。本研究では、個体の葉面積を把握するうえで容易な指数である比葉面積(SLA)を計測するために、サゴヤシの全生育ステージから生育が異なるトゲなしの10個体を選んで検討した。個葉の比葉面積(SLAL)および個体全体の比葉面積(SLAP)を算出した。その結果、個葉の比葉面積(SLAL)は、個体内で一定の傾向がなく葉ごとに異なった。しかしながら、個葉の比葉面積(SLAL)は、若い葉よりもageが進んだ葉で低い傾向があった。また、個体全体の比葉面積(SLAP)も、若い個体よりもageが進んだ個体で低く、直線回帰モデルに合致した。
  • Rembon F. S., Pasolon Y. B., 山本 由徳, 吉田 徹志
    2010 年18 巻1 号 p. 6-18
    発行日: 2010年
    公開日: 2023/07/06
    ジャーナル フリー
     2006年11月から2007年6月にかけて、インドネシア、南東スラウェシ州クンダリ周辺において、サゴヤシ生育地(園)の土壌の理化学的性質を明らかにするとともに、サゴヤシ生育地周辺のカシュー及びカカオ園並びに水田の土壌の理化学的性質と比較した。土壌は、ポハラ地区のラロマサラ村及びラコメア村、プワツ地区のワツロンド村及びコンダ地区のコンダ村で土壌表面から0-15cm と15- 30cmのところから採集した。採集地の土壌タイプは、ワツロンド村では泥炭質土壌であったことを除くと、いずれも鉱質土壌であった。本調査結果より、サゴヤシ園の土壌の理化学的性質は、周辺土壌の性質の影響を受け、採集場所によって異なることがわかった。サゴヤシ園土壌の容積重は、0.3-1.1gcm-3を示し、土性は砂壌土からシルト質埴土であった。pHは、強酸性~中性であった。全窒素は低~非常に高い、可給態リンは非常に低い~中、交換性カリは低~中、CECは低~高、全炭素は低~非常に高いであった。サゴヤシ園の周辺に位置するカシュー園及びカカオ園の土壌は、サゴヤシ園土壌に比べて養分含量及びpHは同等または低かったが、容積重は重かった。一方、サゴヤシ園の周辺に位置する水田土壌は、毎年すき込まれるイナわらに由来する有機物の増加により、サゴヤシ園土壌に比べて全炭素、全窒素及びCECが高く、容積重が低い傾向を示した。サゴヤシの生育する泥炭質土壌のpHは強酸性~酸性、CEC、全炭素及び全窒素は非常に高く、可給態リン及び交換性カリは低、容積重は0.3g cm-3であった。土壌の理化学的特性とサゴヤシの生育、デンプン生産との関係について議論した。
  • 入江 光輝, 大川原 良次, 村中 昭弘, 広田 真, 安部 征雄
    2010 年18 巻1 号 p. 19-27
    発行日: 2010年
    公開日: 2023/07/06
    ジャーナル フリー
     農業生産物の需要が増大する中で、未利用地における大規模な新規農地開拓を進め、バイオマス生産力を増強することは、避けては通れない地球規模で対応すべき課題の一つとなってきている。そうした中でパプアニューギニア国のEast Sepik州は草地や氾濫原などの未利用地が多く残されており、気候的に降雨量が豊富で高温であることから将来的に農業生産基地となることが期待されている。一方で同地域がその原産地とも言われるサゴヤシは、現状では地域住民が主食として自家消費向けに小規模利用しているに留まっている。そこで本研究では、同地域におけるサゴヤシを含めた総合的なバイオマス生産基地開発について検討した。本研究では草地を開発の対象とし、衛星画像解析などによってその面積と地形的な特徴を特定した。対象地域内におけるその面積はおよそ20万haであった。地形は北部の丘陵地から徐々に勾配が緩やかになり、南部ではより平坦となり、特にSepik川氾濫原近くでは地形的に排水されにくく、雨期の湛水が懸念された。また、土壌調査を行った結果、対象地域の広くに重粘土が分布していた。こうした地形や土壌調査の結果から、対象地域をいくつかのエリアにゾーニングし、各エリアの環境条件に応じて複数の種の作物を栽培する多角的バイオマス生産基地が提案され、サゴヤシはその栽培対象の一つとして挙げられた。
  • Rembon F. S., Pasolon Y. B., 山本 由徳
    2010 年18 巻1 号 p. 28-40
    発行日: 2010年
    公開日: 2023/07/06
    ジャーナル フリー
     サゴヤシ実生苗の初期生育に及ぼす土壌の種類(有機質土壌;OS,鉱質土壌;MS)と土壌水分条件(W1:湛水,W2:ポット側面中央部に直径1cmの穴を等間隔に10個あける,W3:ポットの底面に直径1cmの穴を5個あける]の影響を明らかにするために,インドネシア,南東スラウェシ州ポハラ地区,アベリサワ村近郊のラロマサラにおいて,2006年11月から2007年9月にかけて,2要因を組み合わせて2回のポット実験を行った。実生苗植え付け後,ポットは自然条件下に置き、少なくとも1日に1回は潅水した。土壌水分含量はMSに比べてOSで高く,また両土壌ともW1 > W2 > W3の順に高く推移した。土壌の種類と水分条件を組み合わせた条件下では,植え付け後6ヶ月目の地上部及び根の生育,養分吸収量への有意な相互作用はほとんどみられなかった。供試土壌の理化学的特性には大きな差異が見られたが,実生苗の初期生育に及ぼす土壌の種類の影響は,水分条件に比べて小さかった。水分条件は,地上部の基部直径に影響を及ぼし,W1 > W2 > W3区の順に有意に太くなったが,その他の地上部形質への有意な影響は見られなかった。一方,根の生育は地上部以上に土壌水分の影響を受け,W1区の太根(直径5mm以上)数はW2区やW3区に比べて有意に多くなり,さらに太根の総根長,中根(直径2-5mm)数及び中根のうち上向きに伸長した根の数は,W1> W2 > W3区の順に多くなる傾向にあった。これらの結果,根乾物重はW1 > W2 > W3区の順に,地上部/根乾物重比はW3 > W2 > W1区の順に高くなる傾向を示した。また,地上部の基部直径が太い実生苗ほど,太根総根長及び中根のうち上向きに伸長した根の数が多くなる傾向が見られた。今後は,さらに土壌水分の幅を広く設定し,サゴヤシの初期生育に及ぼす土壌水分の影響について検討する必要がある。
  • 山本 由徳, 大森 一輝, 宮崎 彰, 吉田 徹志
    2010 年18 巻1 号 p. 41-43
    発行日: 2010年
    公開日: 2023/07/06
    ジャーナル フリー
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第19回サゴヤシ学会講演会
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