抄録
サゴヤシに関する社会経済的調壺をインドネシア,リアウ州,トゥビンティンギ島において行った.サゴヤシの栽培面積およびサゴデンプン工場は,1990年から1998年にかけて増加し,1998年には栽培面積27,715ha,デンプンの年間生産量60,342tonに達した.農家サゴヤシ園の平均面積は11haであり,これらの園では収穫までに12年を要し,年間約26本/haのサゴヤシを収穫していた.調査園の86%で,サゴヤシは収穫前2~3年に前売り(‘pajak’システム)されていた.収穫は通常,請負によって行われるが,その経費は買い取り人またはサゴデンプン工場主によって支払われる.収穫と工場までの運搬賃は,1本当たり平均Rp. 21,000(US$ 2.8)である.ほとんど全てのサゴデンプン工場では,デンプン抽出に現地の水をそのまま使用していた.サゴヤシの髄部は,ディーゼルエンジンによるロータリ・ラスパーで粉砕される.そして,粉砕髄を撹拌機付きの水槽に入れ,激しく撹拌してデンプンを抽出し,ろ過・静置して回収される.個々のサゴデンプン工場の月産デンプン生産量は56~350tonで,天日乾燥後,ジャワ島のチレボンに出荷される.