2020 年 33 巻 2 号 p. 51-61
児童養護施設でのプレイセラピー(遊戯療法)では,しばしば遊びの中に激しく残酷なイメージが現れる。本稿では筆者のケースを報告し,このような激しく残酷なイメージをイメージの内側から内在的に理解することを試みる。これは,このようなイメージを,安易に彼らの過去の体験や,実際の家庭環境に還元することとはまったく異なる。最初,箱庭で生じた“砂の渦”は,クライエントの“心の容器”の脆弱さと,母性へのアンビバレンスを表していた。しかし,激しい暴力による拷問の遊びを筆者が繰り返し受け止めることによって,次第にクライエントは対等な戦いを行えるようになり,自分自身の内に葛藤を抱えられるようにもなった。よって,たとえ暴力的なイメージであっても,セラピストが身を投じることで共にそれを体験し,そのイメージを内在的に理解していくことが重要であることが示唆された。