産業衛生学雑誌
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調査報告
健康保険組合の保健福祉事業における「地域」との連携モデルの検討
寺田 勇人井谷 徹庄司 幸子宮川 るみ徳永 幸彦
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2003 年 45 巻 2 号 p. 67-75

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抄録

健康保険組合(以下「健保」という. )及び加入企業(以下「職域」という. )と地方自治体等(以下「地域」という. )との連携活動事例を分析し, 職域と地域の連携活動の形態及び方向性について模索し, 健保が被保険者等を対象に実施している保健福祉事業の発展に資することを目的とする. 2000年8月~2001年1月, 様々な社会情報から6事例を選定しその連携活動の内容について訪問調査をおこなった. 2001年2月~3月, 健康保険組合連合会(以下「健保連」という. )が1999年3月に実施した「保健福祉事業実施状況調査」を基に, 地域と連携して活動している可能性の高い36健保を選出し, 郵送による質問紙調査をおこない, その中から実際に連携して活動していた7事例について詳細なデータを得るために, 後日電話による聴き取り調査を追加実施した. 連携活動の形態及び方向性は, (1)個別事業連携型, (2)施設共同利用型, (3)人的交流による連携型, (4)健康管理情報共有型, (5)総合的事業連携型の5つのタイプに分類できた. 職域が保有する人材, 施設 · 設備, 組織等の能力(以下「ポテンシャル」という. )は, 健保が保健福祉事業を実施する上で重要な資源であるとともに, 地域との連携のための資源としても重要であると思われる. 一方, 職域で不足する資源については, 地域を始め外部保健資源を積極的に活用する必要があると思われる. 職域と地域が連携することによりそれぞれが保有する能力を最大限に活かすことができるとともに弱点を補完し合える効果があると思われる.

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© 2003 公益社団法人 日本産業衛生学会
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