抄録
本研究は、軽度認知障害(MCI)スクリーニングにおける物忘れ相談プログラム(MSP)
と改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)の有用性について、認知症・軽度認知障
害スクリーニング検査日本語版(Japanese version of Montreal Cognitive Assessment:
MoCA-J)と MSP 及び HSD-R との関連性をもとに検討することを目的とした。対象者は、
本学と A 市 B 区との包括連携協定による共同事業である「地域高齢者の健康測定」に参加
した A 市 B 区在住の 65 歳以上の高齢者 150 名のうち MoCA-J と HDS-R、MSP の全ての
調査を行うことができた 31 名とした。分析方法は、MoCA-J 総得点と、MSP 及び HDS-R
について Spearman の順位相関係数を求めた。その結果、MoCA-J 総得点と MSP 総得点
には相関は認められなかった。MoCA-J 総得点と HDS-R 総得点には中等度の相関を認め
た。さらに、HDS-R の総得点が 28 点以下の場合は、MCI の可能性を考慮する必要がある
ことが示唆された。