テストへの反応形式が手書き (HW: handwriting) の場合とタイピング (KB:
keyboard typing) の場合とでの,テスト効果への影響を比較した。大学生 36 名を対象と
し,カタカナの対連合課題を学習課題とした。原学習後の学習を参加者内で操作し,HW に
よる initial test (HW 条件),KB による initial test (KB 条件),再学習 (RO 条件: read only)
を行わせた。1 週間後の final test は参加者間で 2 群に分け,HW による final test (HW’
群) もしくは KB による final test (KB’ 群) を実施した。final test の正答率は,KB’ 群で
は両条件ともに RO 条件より正答率が高く同程度であった (i.e., 同程度のテスト効果が両
条件で確認された)。一方,HW’ 群では HW 条件 (i.e., テストへの反応形式が initial-final
間で一致) の正答率のみ RO 条件より有意に高く,KB 条件 (i.e., 不一致) の正答率は RO
条件より高かったものの統計上の有意差が曖昧であった。全体として条件差が見られなか
ったことは,テスト効果が主に内的な想起に起因し,外的反応がもたらす影響は付加的なも
のに過ぎないという解釈を支持すると考えられた。しかし,initial test と final test が不一
致の場合に KB 群のみ効果が曖昧になったことは,転移場面で外的反応の影響が露呈する
ということかもしれず,外的反応の想起への深い関りも否定しきれないと考えられた。再現
性を確認するために,final test も参加者内で操作した追試が必要と考えられた。理論的な
検討のためには,難易度の高い学習課題,covert 反応も含めた比較が必要と考えられた。
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