2018 年 52 巻 1 号 p. 8-15
化粧品の微生物限度試験における特定微生物試験は,培養法による試験が一般的であるが,遺伝子解析技術を応用したLoop-Mediated Isothermal Amplification法(LAMP法)を用いて,前培養液中に含まれる微生物の遺伝子を解析することで試験時間の短縮化が期待できる。一方これまでに,化粧品の一部の製剤によるLAMP反応阻害が確認されていること,また,酵母であるCandida albicans(以降,C. albicans)は増殖速度が細菌に比べて遅いため,化粧品中に夾雑菌が存在した場合には,前培養を行った場合においてもLAMP法で検出するために十分な菌濃度まで増殖できず,検出精度が低いという課題があった。われわれは,C. albicansがLAMP法の検出限界以上の菌濃度に増殖できるよう前培養方法を改良し,加えてLAMP法のプロトコルにおいて,前培養液の水希釈倍率を低減させることで,C. albicansを迅速かつ精度よく判別できることを見出した。また,LAMP反応阻害物質が,カチオン化高分子であること明らかにしたので報告する。