2021 年 55 巻 4 号 p. 331-337
創傷治癒は,なんらかの外的要因により損傷を受けた組織を本来の状態に修復する機能であり,生体の恒常性を維持するために必要不可欠である。皮膚に対する創傷治癒促進作用を示す素材としてはアロエ,ニンジン,トウキやシャクヤクなどの生薬が伝統的に用いられている。表皮創傷治癒においては細胞の遊走・増殖・分化が重要であり,それぞれの観点から研究成果が報告されている。そこで,本研究では多くの皮膚疾患用薬に配合されているシャクヤク(Paeonia albiflora P.)根エキス(PRE)およびその主要成分であるペオニフロリン(PF)の表皮創傷治癒に対する有用性について表皮角化細胞を用いて評価を行った。その結果,PREおよびPFに細胞遊走および細胞増殖を促進する作用が認められた。細胞遊走促進作用メカニズムとしてPREおよびPFにβディフェンシン-3 mRNA発現およびATP産生促進作用が認められ,細胞増殖促進作用メカニズムとしてPREに細胞周期への影響が認められた。