日本化粧品技術者会誌
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短報
皮膚の保湿におけるグリセリンと天然保湿因子の併用効果についての研究
野々部 瑛前田 航佑村島 健司
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2023 年 57 巻 4 号 p. 343-349

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抄録

グリセリンは保湿剤として汎用されているが,他の保湿剤と組み合わせたときの作用機構や保湿効果に関しては,組み合わせの対象が多く,研究の余地が残されている。保湿剤は角層中の水分との結合により効果を発現することがしられている。組み合わせる化合物の分子構造が異なると水との結合性や化合物同士の影響が考えられるため,保湿効果にも違いが生じると予想される。本研究では保湿剤の分子構造に着目しin vivo試験にて,分子構造の異なる保湿剤をグリセリンと組み合わせた際の保湿効果を評価した。組み合わせる保湿剤には天然保湿因子(NMF)である尿素,乳酸ナトリウム,ピロリドンカルボン酸ナトリウムを用いた。保湿剤水溶液を皮膚に作用させた際の角層水分量の増加量(⊿角層水分量)を静電容量法にて測定することで保湿効果を評価した。その結果,NMFの1つである尿素にグリセリンを組み合わせることで相乗的に保湿効果が向上することを見出した。

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