2025 年 59 巻 3 号 p. 144-148
スキンケア化粧品や外用医薬品は,有効成分が皮膚バリアを透過し標的部位に到達することで効果を発揮することが期待される。角層はブリック&モルタルモデルと称される構造をもち,モルタルに相当する細胞間脂質層が主な物質透過ルートと考えられている。本研究では,テープストリッピングで角層を一部除去した肌の角層細胞間脂質構造の乱れを共焦点ラマン分光法にて評価し,TEWL値との対応を確認した。その結果,共焦点ラマン分光法は,簡便に角層細胞間脂質の状態を評価する方法として活用できる可能性が示された。一方,従来から皮膚バリア能の指標として用いられているTEWLとは,一部,一致しない結果が得られ,バリア能が低下した皮膚が速やかにそれを回復させる過程では,細胞間脂質構造の成熟以外にも複雑な生体反応が働いていることが示唆された。