日本化粧品技術者会誌
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顔における立体感の光学的評価法の開発
下山 雅秀布施 学新本 浩一荻原 毅
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2001 年 35 巻 1 号 p. 14-21

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抄録

メイクアップ化粧品の機能のうち, 立体感の演出は非常に重要な項目であり, その客観的評価が必要とされている。メイクアップによる立体感付与は顔の陰影を強調することにより実現されるのであるが, その評価は目視などの官能評価が一般的であり, 客観的評価を行うことは非常にむずかしい。本研究ではこれらの問題点を解決するために, 画像処理の手法を用い, 顔における立体感の客観的評価手法を提案する。本手法は直接的に顔の明暗を, 短時間で計測することが可能であり, 顔の3次元特徴とそれらの作り出す立体感を客観的に評価することができる。複数方向の一定距離から光を照射する装置を作製し, さまざまな方向から光を照射した被写体を撮影した。得られた画像から各画素における光強度の平均値および分散値を用いた画像処理を行うことにより, 被写体の明暗特徴を画像上に客観的に再現することが可能であった。さらに, 複数の被写体の解析結果を規格化することにより, これまで経験的に知られていた人の顔の普遍的明暗特徴を画像上に再現することが可能であった。また, 光学特性の異なる2種類のプァンデーションを被写体に塗布し, 解析を行うことにより, ファンデーション塗布による立体感の演出効果の差異を明らかにすることができた。これらの結果から, 本手法は「顔の立体感」を客観的かつ普遍的に評価する手法として非常に有効であることが示唆された。

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