2006 年 40 巻 3 号 p. 201-210
青色1号 (B1; ブリリアントブルーFCF) はアルカリ溶液中で加熱することにより分解することが知られているが, 室温ではアルカリ性でB1の色調変化がないといわれている。そこで, B1のアルカリ溶液中の加熱分解挙動をLC/MSおよびHPLCを用いて検討した。その結果, 市販B1中に存在する副成色素エチルアミン体 (B1sub-EA) およびフェノール体 (B1sub-HP) の生成が確認された。B1sub-EAの生成は非常に少なく, B1の殆どは赤紫色を示すB1sub-HPに分解していった。B1sub-HPはアルカリ溶液中互変異性体であるオキソシクロヘキサジエニリデン体 (B1sub-OCD) へ変化することが示唆された。同様に, アルカリ溶液中B1の異性化が起こり, 極大波長が同じ4級アンモニウム水酸化物へ変化することが示唆された。また, 温度の影響も検討した。その結果, 低い温度ではB1の異性化が律則段階となり, 分解は遅く, 室温での色調変化は短時間では見られないことが示唆される。