抄録
INSは、移動体の加速度を計測する加速度センサと角速度を計測するジャイロスコープの2つの慣性センサから構成され、出発点からの累積移動距離、速度、姿勢角および方位角を求める自立航法システムである。そのため、航法を行う前に出発点における初期条件(位置、速度、姿勢、方位)を決定することが重要である。この作業をアライメントと呼び、DGPSの情報を活用することで移動しながらアライメントを行う INS/DGPS 複合航法が提案されている。しかし、移動アライメントにおいてINS 航法誤差の推定を行う際、非線形である INS 誤差モデルに対し線形近似が行われている。そこで、INS 誤差モデルにおける非線形要素は航法誤差の推定に大きく影響するため、従来モンテカルロ法を用いた非線形フィルタを適用することより、高精度な航法を行う手法が提案されてきた。しかし、モンテカルロ法による非線形フィルタでは多数の擬似乱数の発生による計算時間、正規性、独立性の検証が必要となる。そこで、本研究では乱数の検定を行い、乱数表を定め、プログラムの簡略化を計る事で、移動アライメントにおける高精度なINS/DGPS 複合航法のオンライン処理を実現する。