抄録
本研究の目的は,非同期的に意思決定を行う自律エージェントの集団で構成される非同期的なマルチエージェント系を設計するための要素技術に関する実験的考察を行うことにある.このような要素技術としては,セミマルコフ決定過程(SMDP)対応版強化学習手法および実数値GAに基づく進化型ニューラルネット(NN)手法が挙げられる.しかしながら,SMDP対応版強化学習の場合には適用可能な問題領域は限られており,進化型NN手法の場合には広範な問題領域への適用可能性はあるが,良好な解の獲得には膨大な計算量が必要となる.本研究では特に非同期型マルチエージェント系のための良好な行動政策を短時間で設計可能な要素技術を確立することを目指して,上記の要素技術とは別の選択肢として,進化戦略(1+1)-ESに基づく進化戦略型NN手法に焦点を合わせ,非同期型マルチエージェント系設計のための要素技術として,その性能を評価する.