抄録
ものを探すという行為には的確な周囲環境の把握が求められるため,視点を積極的に動かすといった,より多くの情報リソースを得るための行為主体による能動的な働きかけが必要となる.しかしながら,そのような振る舞いは利用する道具によって大きく制約され得る.遠隔操作系では,非常に限定された知覚と行動の組合せからロボットと周囲の障害物の位置関係を正しく捉えなくてはならないため,操作者自身が適応して新たな行動戦略を見い出さなければならない.これについて本研究では,ロボットを介して遠隔環境の探索作業を行うための操作技能を解析し,ロボットを巧みにコントロールできる技能要因は何であるかについて調べる.さらにそれに基づいて,人間の操作技能を補う自動化導入,すなわち人間と自動化とによる共有制御(shared control)への展開について考察する.