抄録
サンプル値系の感度低減化問題と純粋な離散時間系の感度低減化問題との間に、次のような関係が成り立つことが最近示されている。
周波数重みのないサンプル値系の相補感度低減化問題は、純粋な離散時間系の周波数重み付き相補感度低減化問題に帰着される。また、周波数重みのないサンプル値系の感度低減化問題は、純粋な離散時間系の周波数重み付き混合感度低減化問題に帰着される。
上の2つの結果に現れる周波数重み関数は、系を純粋な離散時間系とみなした場合に無視されたエイリアスの影響を表している。そのため、これらの周波数重み関数は、エイリアス因子と呼ばれている。
本稿では、入力端感度に対するエイリアス因子の基本的な性質をいくつか示す。はじめに、エイリアス因子の一般的な性質について述べる。そして、サンプリング周期を0に近づけたときのエイリアス因子について考察し、その漸近的挙動が、制御対象の相対次数で特徴づけられることを示す。