抄録
本研究では,誤認がエージェントの行動の有効性を高める可能性について実験的に検証する.赤石らは,誤って情報を認識する「誤認」を単なる負の効果を持つ誤りとしてとらえず,集団行動における多様性を生み出す機能の一つとなり得るという仮説を立てている.仮説に基づく実験の結果,誤認がエージェントの行動における多様性を増大し,資源獲得に貢献し得ることが示されている.赤石らの研究で用いられている誤認として,対象物を誤る属性誤認と対象物の位置を誤る位置誤認がある.本研究では,明石らの研究の二つの誤認の性質を併せ持つ完全誤認を導入し,各誤認がエージェントの資源探索行動に与える影響を調べる.