抄録
コンピュータ技術の発達によって,テキスト,画像はもとより,3次元形状データもまた膨大な量が(電子博物館用途や工業デザインの意匠検索用途などで)コンピュータに保存されるようになってきた.このように大量に蓄積されたデータから目的のデータを検索するリトリーバル技術は必要不可欠なものである.3次元形状の検索技術は,従来幾何学的,位相幾何学的特徴のみに着目したものがほとんどで,造形美術,工業デザインの検索には不向きであった.本研究では,立体物の持つ感性的特徴を抽出し,感性的な3次元形状リトリーバル技術の基礎的検討を行う.具体的には,曲面の持つ感性的特徴量を定義し,これが人間のデザイン感性によく一致することを示し,ついで,本提案の感性的特徴量に基づいた立体造形物の感性的距離を提案する.