抄録
我々は既にトンネル覆工面をラインセンサカメラで連続的に撮影する方式による検査システムを開発している。変状展開図を高精度に効率よく作成するためには、ひび割れ等の変状を自動的に抽出する画像処理手法を開発する必要がある。微小な変状をより確実に検出する方法として、ピクセル数の多いラインセンサカメラを使用したり、カメラ台数を増やして解像度を上げるといったことが考えられるが、今回は画像のダイナミックレンジを拡げることを考えた。これまで8bit画像を使っていたが、種々の画像処理を行っても画像情報が十分残る特徴を活かし、12bitで記録できるカメラを用いた。ガウシアンフィルタとエッジ処理を利用し、長さや方向、連続性といったひび割れの特徴を考慮したサブピクセル精度の画像処理アルゴリズムを検討し、プロトタイププログラムを作成した。実際に撮影した種々のトンネル壁面に対して画像処理を行った結果、多少汚れのある壁面においても、幅1mm以下の微細なひび割れを検出できることを確認した。