抄録
コスト保証型レギュレータとは,全ての不確かさに対して二次形式評価関数の値を指定された値以下に抑える制御系である.この制御系の設計は,不確かさに依存する行列不等式の可解問題に帰着され,一般に,確定的な方法で効率よく解くことは困難である.そこで,解を確率的に再定義し,それを効率よく求めることのできる勾配法に基づくランダマイズドアルゴリズムが提案されている.本発表では,連続時間システムに対して提案されたこの確率的設計法を,離散時間システムに対して拡張している.提案しているアルゴリズムは連続時間システムの場合と基本的に同じであるが,行列不等式で表現された設計問題の可解件,可解条件から導かれる目的関数の劣勾配,停止則を与える解の大きさの見積もりに違いがある.本発表ではそれらを具体的に明らかにし,数値例で提案アルゴリズムの有効性を確認している.