抄録
従来の線形判別分析(LDA)による特徴抽出では,得られる特徴ベクトルの次元は訓練データのクラス数未満で制限される.これに対し,再帰的フィッシャー判別分析(RFLD)では,LDA特徴空間の補空間に対して再帰的にLDAを行うことで,クラス数の制限を越えて任意の次元の特徴ベクトルが得られる.一方,LDAを追加学習環境に拡張した追加型線形判別分析(ILDA)がPangらによって提案されている.本研究では,ILDAの導出法に基づきRFLDを追加学習可能なように拡張し,クラス分離度に基づいて最適な特徴数を決定する方法を導入した追加型再帰的フィッシャー判別分析を提案する.この学習アルゴリズムでは,過去の訓練データを保持することなく特徴空間の更新を行うことが可能であり,クラス数以上の特徴数を得ることができる.ベンチマークデータを用いた計算機実験を通して,ILDAとの比較を行い,IRFLDはいくつかのデータにおいてILDAを超える性能を有することを示す.