前十字靭帯(ACL)損傷は、スポーツにおいて頻繁に発生し、多くの場合、膝関節の安定性を回復するために外科的再建術が推奨される。リハビリテーションの指針として、スポーツへの復帰準備が整っているかを判断するために、専門職が長らく用いているのが、様々な機能、バイオメカニクス、および筋力テストにおける下肢対称性指数(LSI)を算出し、患側肢を健側と比較する手法である。しかし、リハビリテーションの状態や復帰準備が整っているかを定量化する方法として、LSIの算出を有効とする一貫したエビデンスはない。本稿では、LSIの算出に関する科学的文献を総合し、エビデンスが一貫しない潜在的理由と、この手法の限界について論じる。その上で、LSI算出の有用性を向上させるための4つの検討事項を提示する。これには、(a)受傷前の脚や競技特異的な非受傷対照群から得たベンチマークなど、回復の適切なベンチマークを確立することの重要性、(b)動作の非対称性の算出値における大きなばらつきの管理方策と、LSIの構成要素における被験者内変動を定量化することの重要性、(c)LSIの使用に際し、パフォーマンスに加えて動作方法を評価することに関するエビデンス、ならびに(d)ACL損傷後の、LSIを組み込んだテストの参考に、競技特異的な機能の範囲を用いる方法が含まれる。