Strength and Conditioning Journal Japan
Online ISSN : 2759-0674
Print ISSN : 1883-4140
32 巻, 4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
特集
  • 土肥 美智子
    2025 年32 巻4 号 p. 4-9
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/01
    ジャーナル フリー

    スポーツドクターが扱う内科疾患は、近年大きく変わったということはないが、コンディショニングという観点から述べると、新型コロナウィルス感染症(COVID- 19)をきっかけとした感染症と、ウェアラブルデバイスの発達により評価が可能となった睡眠障害を、より扱うことが多くなったと感じている。またウェアラブルデバイスにより評価できる生理学的現象に関して、コンディショニングの把握や内科疾患からの競技復帰に関して、より踏み込んだ対応が可能となったと思われる。本稿では、これらを中心に、筆者のスポーツ現場での経験を主として述べたいと思う。

研究論文
  • 中馬 健太郎
    2025 年32 巻4 号 p. 10-14
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/01
    ジャーナル 認証あり

    本研究の目的は、プロサッカー選手を対象としてCHU-Testパフォーマンスと試合中の高強度活動との関係を検討することであった。対象者はプロサッカー選手21名(年齢24.0±2.9歳)であった。対象者の間欠的運動能力を把握するために、CHU-Testを行なった。また、対象者の試合中のフィジカルパフォーマンスを把握するために、1シーズン通して行なわれたリーグ戦すべての試合でGPSデバイスを装着して試合を行なった。対象者におけるCHU-Testパフォーマンスは、CHU-Test実施前後の試合あるいはリーグ戦全試合から取得された高強度ランニングでの移動距離との間に0.81あるいは0.66、高強度加速の回数との間に0.80あるいは0.75、高強度減速の回数との間に0.60あるいは0.56のすべて有意な相関係数が得られた(p<0.05)。これらの結果から、CHU-Testは高強度ランニングや高強度加速および高強度減速といったプロサッカー選手に重要な試合中の高強度活動を反映するフィールドテストであることが明らかとなった。

エクササイズ指導
From Strength & Conditioning Journal
CEU クイズ関連記事
  • Tomasz Kowalski, Dominika Granda, Andrzej Klusiewicz
    2025 年32 巻4 号 p. 18-27
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/01
    ジャーナル 認証あり

    従来の競技特異的なトレーニングやエクササイズプログラムでは、呼吸筋機能を向上させるための十分な刺激を与えられないことから、呼吸筋トレーニング(RMT: respiratory muscle training)を導入する理由づけが浮上した。RMTは持久系パフォーマンスと肺機能の向上にかかわり、呼吸疲労や主観的運動強度、息切れが軽減される。本稿の目的は、アスリートのニーズを踏まえ、適切な方法やテクニック、用具、およびテストプロトコルを用いる、適切なRMT様式を選択するための手段をコーチに提供することである。

  • Lester Daniel Rodríguez Porras, Luis Solano-Mora, Milton Rivas-Borbón, ...
    2025 年32 巻4 号 p. 28-43
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/01
    ジャーナル 認証あり

    女子サッカーの急速な拡大に伴い、その試合の動力学について理解を深めようとする科学的関心が高まっている。本稿では、女子サッカーの公式試合における身体的要求に関する科学的知見を整理するため、選手のポジション、試合の経過時間、競技の種類、および試合結果などの状況要因を考慮した。その目的は、身体活動のプロフィールについて包括的かつ最新の概要を提供することである。本システマティックレビューに際しては、PubMed、Scopus、SPORTDiscus、Web of Science、ScienceDirect、ERIC、およびSciELOの各電子データベースを検索した。計1,859件の研究が特定され、採用と除外の基準に照らして、28件の論文が採用された。レビューの結果、高速度の閾値において研究間でばらつきが大きく、また、セントラルミッドフィルダーは総移動距離が長く、ウィングは高強度での移動距離が長いことが明らかになった。フォワードはスプリントの回数が多く、身体的努力は試合後半に減少していた。国際試合のほうがより多くの身体的努力を求められ、女子サッカーにおける身体的要求は状況要因の影響を受けていた。効果的なトレーニングプログラムを作成するには、選手のポジションおよび競技の種類に特異的なプロフィールを考慮すべきであり、また正確な結論を導くには、高強度ランニングと加速の閾値を標準化する必要がある。

  • Stephen P. Bird, Brent Goriss, Ernest DeLosAngeles, Nathan Spencer
    2025 年32 巻4 号 p. 44-52
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/01
    ジャーナル 認証あり

    新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行を受けて、全米バスケットボール協会(NBA)などの各運営団体はプロスポーツリーグの競技を中断し、なかでも国際オリンピック委員会(IOC)は、東京2020オリンピック競技大会を延期することとなった。その後、競技が再開されるのに伴い、パフォーマンススタッフは、アスリートを競技に安全に復帰させる準備に重点を移した。本稿では、新型コロナの流行に伴うロックダウン(都市封鎖)期間におけるバスケットボール選手の競技に向けた準備に関して、新規かつ固有の国際的観点を提供し、NBA、FIBAアジアカップ、およびオリンピックから得られた教訓を概説する。当時を振り返り、(a)新型コロナの生理学的および心理学的な影響、(b)(リ)トレーニングの過程に用いられたストレングス&コンディショニングおよび栄養戦略、ならびに(c)心理的ウェルビーイングに関する状況特異的な介入と教育戦略をめぐる中心的なテーマを明らかにする。総じて、新型コロナ下におけるバスケットボール選手の準備を担うパフォーマンススタッフは、体力向上に悪影響を及ぼすことなく身体的・心理的な準備状態が整うように、健康とパフォーマンスに対する追加的なサポートを検討することが求められる。

  • David Martínez-Hernández
    2025 年32 巻4 号 p. 53-70
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/01
    ジャーナル 認証あり

    エキセントリック(伸張性)レジスタンストレーニングは、その特有の筋と神経の適応により、スポーツにおけるパフォーマンスや傷害予防に有益な効果をもたらすことが明らかになっている。伸張性過負荷を生じさせる様々な方法の中で、フライホールエキセントリックトレーニング(FET)が近年注目されている。その理由は、機器の可搬性、豊富なエクササイズバリエーション、調節可能な抵抗など、他の方法にはない利点があるからである。フライホイール機器を用いて、伸張性過負荷の存在を裏づけるだけの十分なエビデンスを提供した研究はきわめて少ない。FETの実践的方法に関するガイドラインも、先行研究では数が限られる。本稿において我々は、FETの使用を支持する研究を紹介し、伸張性過負荷を可能にするエクササイズを開発するための実践的なガイドラインを提示する。

  • Hüseyin Şahin Uysal, Oguzhan Dalkiran, Sezgin Korkmaz, Zeki Akyildiz, ...
    2025 年32 巻4 号 p. 71-85
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/01
    ジャーナル フリー

    複合ストレングストレーニングは、プライオメトリックエクササイズと伝統的なストレングスエクササイズを組み合わせたものである。このトレーニング方法は、バスケットボールにおける垂直跳びパフォーマンスの向上を目的に、様々なプロトコル(コンプレックストレーニングやコントラストトレーニングなど)を用いて実施される。複合ストレングストレーニングは、活動後増強(PAP)の理論に基づいており、神経筋系における生理学的変化によって、一時的なパフォーマンス向上が可能となる。本稿のレビューではPICOS基準に従い、研究の採用と除外を決定した。検索は、電子データベースのGoogle Scholar、PubMed、およびScopusにおいて2022年9月1~7日に実施した。複合ストレングストレーニングがバスケットボールにおける垂直跳びパフォーマンスにもたらす効果を、異なるトレーニング方法と比較した結果、複合ストレングストレーニングに中程度の効果が認められた(効果量[ES]=1.11、95%信頼区間[CI]:0.63~1.60、I2=82%)。システマティックレビューおよびメタアナリシスの結果、バスケットボールに様々な様式で適用される複合ストレングストレーニングは、垂直跳びパフォーマンスの向上効果において、他のトレーニング方法より優れていることが明らかになった。一方、複合ストレングストレーニングの各プロトコル間に差は認められなかった。アスレティックパフォーマンスの専門職は、同じトレーニングシーズンにプライオメトリックエクササイズと伝統的なストレングスエクササイズを組み合わせて処方することで、ジャンプパフォーマンスを向上させる効果が期待できる。

feedback
Top