脳卒中の外科
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原  著
無症候性未破裂脳動脈瘤クリッピング術後の中長期的予後 ─未治療動脈瘤と新生動脈瘤について─
河本 俊介深谷 春介安部 欣博奥貫 かなえ角 拓真菊地 慈金 彪
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2021 年 49 巻 6 号 p. 447-452

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抄録

当施設で未破裂脳動脈瘤に対するクリッピング術を行ったのちに直接経過観察を継続している748名の患者に6-12カ月ごとの定期的MRを行い,新生動脈瘤の発生および未治療動脈瘤がある場合にその増大に関する中長期的予後について検討した.MRAは702患者に行い,最終施行時期は5.3±3.3年であった.新生動脈瘤は3,716.3 patient-years中10名に認められ,その発生率は0.27%/patient-year,Kaplan-Meier法による発生率は5/10/15.4年でそれぞれ0.5/3.3/6.4%であった.未治療動脈瘤は107名の患者に114個であり,その増大は621.8 patient-years中17名に認められ,その発生率は2.7%/patient-year,Kaplan-Meier法による増大率は5/10/15年でそれぞれ12.5/28.6/59.5%であった.性別,年齢,高血圧の合併,喫煙歴,くも膜下出血の家族歴,多発,動脈瘤のサイズは,log-rank法にて新生動脈瘤の発生と未治療動脈瘤の増大に影響する因子として有意ではなかった.クリッピング術ないしコイル塞栓術による治療介入の率は0.73%/patient-yearであった.未破裂脳動脈瘤治療後の新生動脈瘤発生および未治療動脈瘤増大は中長期的には無視できない率でみられ,長期にわたる継続的な画像フォローが必要である.

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© 2021 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
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