2022 年 50 巻 2 号 p. 114-118
動脈瘤クリッピング手術において,われわれはclip bladeで生み出される線をclosure lineと名づけ,動脈瘤の発生前の血管の状態を想像しながら,これを設定することで,より脆弱な部分を残さない理想的なクリッピングが可能であると提唱してきた.この理論は,血管の可動性から中大脳動脈瘤で最も適応・実践しやすい.今回,この理論を適用しにくい「closure lineに沿ったclipの挿入が困難な場合」「複数のclosure lineを有する場合」「closure lineがわからない場合」「ネック付近に動脈硬化を有する場合」の4パターンについて対処方法を解説した.開頭手術が担う役割の大きい中大脳動脈瘤において,治療の安全性と堅牢性を高める一助となることを期待する.