抄録
症例は31歳男性, 13歳時に肥大型心筋症を指摘され, β-blockerにて経過観察されていた. 平成24年7月上旬, 冷汗を伴う息切れを自覚し近医を受診. 180bpm wide QRS tachycardia (右脚ブロック型, 右軸偏位) を認め, 前医にてカテーテルアブレーション (CA) を施行するもfailureし, ICD植え込み施行. 退院後5日間で8回のICD作動があり当院紹介. 右室からの2連期外刺激にてpolymorphic VTが誘発され, substrate mappingの方針とした. 左室心内膜側はnormal voltageでありLVAは認めず, 左室側壁~後壁にて比較的Pace mapが良好な部位を認めるものの, 心外膜からのbrakethroughであると考え, 心外膜側アプローチを行った. 心外膜側も概ねnormal voltageであったが, 左室側壁~後壁の中部に限局した低電位領域 (LVA) を認めた. 同部位内にて遅延電位 (DP) を認め, 対側は心内膜側にて比較的pace mapが良好であった部位と一致していた. DP記録部位にてpace map施行すると, 下方 (心尖部) ではlatencyが長く, 上方 (基部) ではlatencyが短くなりともにgood pace mapであったため, それぞれentrance方向, Exit方向とする回路が想定された. RF#1にて回路の上流での通電にて局所のDPは消失し, 同部位以外のDPも消失した. 現時点で15カ月のフォローアップでもICD作動なく経過している.