2024 年 52 巻 3 号 p. 173-181
頭蓋内動脈硬化性狭窄病変が進行性に増悪する場合,治療は困難である.狭窄局所が高度狭窄で,なおかつプラークが不安定であると,血管内治療手技で局所を直接開大するのは安全ではない.狭窄局所を刺激せず,血行力学的虚血を呈する末梢にバイパスを設置するほうが安全な可能性がある.動脈硬化性中大脳動脈高度狭窄に対するSTA-MCAダブルバイパスの臨床,画像経過を手術7例で提示した.平均9カ月の経過観察で,全例バイパス血管は開存しており,脳梗塞合併を認めなかった.丁寧なdonorの採取,およびdonorとrecipientの内皮同士がきれいに接面(approximate)するよう縫合することが重要と考える.