2024 年 52 巻 6 号 p. 464-470
後大脳動脈(PCA)近位部紡錘状動脈瘤は,深部病変,瘤遠位の血行維持,穿通枝温存の面から治療困難である.症例はPCAP1-P2部の紡錘状解離によるくも膜下出血を発症し,解離部に後交通動脈と穿通枝の長回旋枝が含まれていた.後視床穿通動脈は対側PCAP1部から起始していた.発症日に脳底動脈先端部でバルーン遮断試験による側副血行路の評価を行ったが,右後交通動脈の一時遮断ができないため,解離部遮断に伴う側副血行の評価はできなかった.同日,ステント支援コイル塞栓を施行したが19病日に再発をきたし,25病日に浅側頭動脈-PCAP2部バイパス術を,そして27病日に血管内治療による瘤内塞栓と近位遮断を施行した.しかし,解離部穿通枝の閉塞による中脳視床梗塞を合併した.発症1年6カ月経過し,軽度片麻痺と眼球運動障害を後遺するも社会復帰にいたっている.PCAP1-P2部解離の治療は解離部の遮断に伴う側副血行と穿通枝の温存の面から手術と血管内治療ともに困難であり,症例に応じた治療選択が要求される.