2025 年 53 巻 6 号 p. 369-375
脳動静脈奇形(AVM)の治療において,ガンマナイフ治療(gamma knife radiosurgery:GKRS)は重要な選択肢として確立されつつある.特に大型病変に対しては,nidusを分割して複数回に照射するvolume-staged GKRSが導入され,5年完全閉塞率 65%,累積出血率 13%,死亡率 9%,永続的放射線障害 8%といった成績が報告されている.しかし,大型AVMや出血性中型AVMにおいては依然として治療成績のさらなる改善が求められている.
従来行われてきたnidus塞栓術は血流を減少させる効果はあるものの,AVM全体の体積縮小は不十分であり,また塞栓術自体に合併症のリスクが存在する.こうした課題に対し,筆者らは「GKRS後に流入動脈のみを標的とした塞栓術」という新しい戦略を提案した.まず,大型AVMに対してはvolume-staged GKRS,出血性中型AVMには単回GKRSを施行し,その後のlatency interval periodにおいて残存血流を抑制する目的で流入動脈塞栓を追加する.この方法は,従来のnidus塞栓に比べて合併症を回避しやすく,さらにlatency interval periodの出血リスクを低減できる可能性があると考えた.
このような集学的治療戦略は,これまで治療困難だったAVMに対し新たな選択肢を提供するものであり,今後は多施設共同研究による検証と治療アルゴリズムの確立を目指している.