脳卒中の外科
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原  著
前大脳動脈末梢部動脈瘤の臨床的特徴および直達術の手術成績
河本 俊介池田 剛斉藤 克也深谷 春介奥貫 かなえ阿久津 博義
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2025 年 53 巻 6 号 p. 376-384

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抄録

前大脳動脈末梢部(distal anterior cerebral artery:DACA)動脈瘤は比較的まれな疾患であり,全脳動脈瘤の約1-9%を占める.2003年から2023年までの21年間に経験した116瘤(破裂 55瘤,未破裂 61瘤)について,その臨床的特徴と手術成績を検討した.手術は112手術を112患者に施行し,男女比は1:3と女性に多く,平均年齢は64.3歳であった.動脈瘤の好発部位はA2-3分岐部(87.1%)で,平均サイズは5.6mm,多発動脈瘤の保有率は34.8%,奇形前大脳動脈(azygos ACA)の合併は17.0%であった.未破裂瘤の41.0%に増大を認めた.破裂例の41.8%に脳内血腫を合併し,WFNS grade 1-2が63.6%を占めた.手術では,bridging veinの温存に留意しつつinterhemispheric approachを用い,動脈瘤複合体の完全な可動性を得ることを重視した.特に大脳鎌との癒着を認めた14例(12.5%)では,癒着剝離により可動性を確保することが重要であった.手術成績は未破裂例では全例予後良好,破裂例では転帰良好(mRS 0-2)が69.1%であり,WFNS grade 1-2では94.3%,grade 4-5では25.0%と術前gradeが転帰を左右した.DACA動脈瘤は小型でも破裂リスクが高く,母血管が細いため手術操作には細心の注意を要するが,適切な手術戦略により良好な成績が得られる.

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