2025 年 53 巻 6 号 p. 410-416
浅側頭動脈(STA)–中大脳動脈(MCA)吻合術後の動脈瘤はまれな合併症である.われわれは,破裂 1例・未破裂 2例の遅発性動脈瘤に対し,直達術で良好な結果が得られた3症例を報告する.
症例1は40歳,男性,もやもや病.STA-MCA吻合術4年後に動脈瘤破裂によるくも膜下出血をきたし,吻合部対側MCA壁の動脈瘤にクリッピングを行った.
症例2は68歳,女性.MCA閉塞症.STA-MCA吻合術1年後に吻合近傍のMCA壁に発生した半紡錘状動脈瘤にclip-on-wrapを施行した.
症例3は48歳,女性.内頚動脈瘤に対するSTA-MCA吻合術と母血管閉塞術後,吻合部近位STA壁に真性瘤を生じ,吻合術4年後にクリッピングとwrap-on-clipを行った.
3例とも術後に永続的合併症や再発は認めなかった.吻合術後の新生動脈瘤は発生部位により4型に分類され,本分類は発生機序の考察に有用と考えられた.また,その直達術では,瘤の性状に応じた柔軟な手術戦略,STAと硬膜の癒着を考慮した安全な露出,硬膜閉鎖に配慮したクリップ選択など,通常の動脈瘤手術とは異なる工夫が求められる.