脳卒中の外科
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症  例
造影MRIによるvessel wall imagingが破裂瘤の同定に有用であったくも膜下出血の1例
池尾 諒介藤田 健嗣中村 直人山本 祐輔中井 友昭木村 英仁篠山 隆司
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2025 年 53 巻 6 号 p. 417-421

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抄録

近年,造影magnetic resonance imaging(MRI)vessel wall imaging(VWI)が多発脳動脈瘤中の破裂瘤壁特定に有用との報告がある.今回,本検査によって正確に破裂瘤を同定できた症例につき,文献的考察を加えて報告する.

症例は82歳,女性.突然の意識障害(JCS III-100)で救急搬送され,頭部computed tomography(CT)でびまん性のくも膜下出血を認めた.血腫は鞍上槽から脳底槽後部を中心に顕著に厚く,大脳縦裂では比較的少量であった.造影CTでは,約2.5mmの上向きの前交通動脈瘤と脳底動脈に紡錘状の膨隆を認めた.血腫局在や瘤形態などからは出血源の断定が困難で,頭部MRI検査を施行した.脳底動脈には解離を疑う所見はなく,造影VWIを行い,前交通動脈瘤の瘤壁が造影され出血源と判断し開頭クリッピング術を施行した.術中,瘤周囲に硬い血腫を認め,瘤先端に一部血栓化したブレブを認めた.また,瘤周囲の剝離操作で容易に出血をきたし,前交通動脈瘤が出血源として矛盾しない所見であった.術後経過良好で,第41病日に水頭症に対し脳室腹腔シャント術を施行し,簡単な意思疎通が可能なまでに症状は改善した(mRS 4).造影VWIにおいて破裂瘤壁が造影される機序は,炎症や血栓の関与が関係していると考えられる.本症例における前交通動脈瘤の血栓付着部の造影強度は局所的にstalk比 0.83とより高値で,破裂瘤として矛盾しない値であった.急性期VWIはその造影強度,パターンによって,多発動脈瘤における出血源をより鋭敏に同定できる.

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