2025 年 53 巻 6 号 p. 404-409
前脈絡叢動脈(AChA)の遠位部に発生する脳動脈瘤はきわめてまれであり,主にもやもや病に伴う側副血行の発達が原因とされる.われわれは,同側の後大脳動脈(PCA)閉塞後にAChAのcisternal segmentからの分岐血管に動脈瘤が発生し,くも膜下出血を呈した69歳男性の症例を経験した.NBCAによる塞栓が困難であったため,AChA本幹に対するコイル塞栓によるparent artery occlusion(PAO)を実施し,神経症状の悪化なく救命を得た.術後は内包後脚に梗塞を認めたが,既存の左片麻痺の増悪はなく,modified Rankin Scale 4で転院となった.AChA遠位部動脈瘤の報告は少なく,特にcisternal segmentからの分岐血管に発生した例はきわめてまれであり,治療法も確定していない.
本症例は,PCA閉塞による側副血行路の発達に起因するhemodynamic stressにより分岐血管に動脈瘤が形成されたと考えられ,脳血管内治療が有効な選択肢となり得ることを示した.今後もさらなる症例の蓄積と検討が求められる.