2025 年 24 巻 p. 70-83
第二言語習得の分野では、言語知識は意識的に活用できるもの(以下、意識的知識)と無意識的に活用できるもの(以下、無意識的知識)に伝統的に二分され、その区別は数十年にわたり活発な議論の焦点となってきた。本稿では、このような第二言語習得における意識的知識と無意識的知識に関する枠組みを広く紹介し、この分野の研究の歴史的発展を概観する。次に、これらの伝統的な枠組みを検討し、これまで示されてきた二分法は、同じものを対象にしているようでいて、拠って立つ枠組みによって異なるということを明らかにし、同じ現象に対しても枠組みによって違う解釈や予測が生じることを示す。そして、知識に内在する意識に関する理論は、第二言語を研究する限り、どのような言語理論に基づく研究にも関連する可能性があることを示す。これらの議論に基づき、このような意識の理論的研究には、言語理論と同様の探求の論理が必要であることを示し、今後の展望について述べる。