抄録
1970年以降,我が国では地熱資源開発の促進が進められ,旧地質調査所や新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) による全国的な地熱資源調査が行われ,地熱発電所の建設が進められたが,1999年の八丈島の地熱発電所を最後に新規の発電所の建設はない。この要因として,地熱資源の多くが自然公園内に存在すること,地下に特有なリスクに起因するコスト高などがあげられる。しかしながら2011年の震災以降,地熱資源の見直しが行われ,地熱開発の促進は重要な課題のひとつとなった。
2012年8月の法律改正により,石油天然ガス・金属鉱物資源機構 (JOGMEC) に地熱資源の開発促進の機能が追加となった。この機能には,地熱開発事業者が実施する地質構造調査における助成金の交付,探査における出資,開発における債務保証などの支援,また自主的な調査による情報提供があり,さらに2013年度から技術開発事業も加わった。
本稿では,JOGMECが開始した支援事業および調査事業,ならびに技術開発の方針について紹介することとしたい。