物理探査
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論文
K-NET・KiK-netのPS検層記録に基づくVs・Vpおよび深さの関係
長嶋 史明川瀬 博
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2019 年 72 巻 p. 78-100

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抄録

微動や地震動を用いて地盤構造を同定する際,P波速度(Vp)はS波速度(Vs)と比べその拘束力は弱いものの重要なパラメータとなる。そこで日本での地盤探査情報を反映したP波速度構造を得ることを目的に,日本全国のK-NETおよびKiK-netにおけるPS検層データを用いてVpとVsの相関や深さ方向分布を調べた。Vs = 1000 m/s以下のときVpは500 m/sと1500 m/sの2つの領域に集中して存在しており,それぞれ不飽和土と飽和土の特性が表れたものと思われる。またVpは平均的に深さ4 m以浅の地盤浅部では500 m/s程度の不飽和土,それ以深では1500 m/s程度の飽和土に相当する傾向が見られた。K-NETでは土質分類別での検討も行ったが,土質ごとに存在する深さに傾向がありその影響が見えるものの,土質間でVs-Vp分布や深さ方向分布に大きな違いは見られなかった。最後にVpの分布の傾向から深さ4 mを境として分割した2つのデータセットを考え,それぞれに対しVs = 200 m/sごとの幾何平均と標準偏差を求め,それらの直線近似による回帰式を求めることで幅広い速度域で適用可能なS波速度からP波速度への換算式を求めた。その結果,深さによるVpの分布傾向の違いを反映した換算式が得られ,観測記録のばらつきをよく説明する標準偏差の回帰式が得られた。また,土の飽和・不飽和の影響は地層のVpが水のVp以下となるか否かに表れると考え,実測データに基づきVp = 1200 m/sをその境界と考え,Vpの大小でデータセットを分割しそれらの回帰式を求めた。Vp>1200 m/sのVp換算式は深さ4 m以深のVp換算式とほぼ同じものが得られ,地層のVpが水のVpより低速の不飽和土に関して評価可能なものとしてVp≦1200 m/sのVp換算式が得られた。

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© 2019 社団法人 物理探査学会
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