抄録
熊本県の各地には,様々な環境の中で先人たちが知恵と工夫を試行錯誤しながら作り上げた素晴らしい料理がある。しかし,これらの郷土料理は現在私たちの生活の中から失われつつあるのが現状である。また厚生労働省の第3次食育推進基本計画では,和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたことも踏まえ,伝統的な食文化の保護・継承を推進している。そのため,郷土料理の特徴や由来,作り方を学び,これらの郷土料理を次世代に継承していくことが必要であると考える。第1報では,県内各地を調査して郷土料理の成り立ちから,①優秀な特産物の存在,②大漁・豊作による農林水産物の有効活用,③人の移動・交流により生まれたもの,④行事により生まれたものの4種類に分類して報告した。さらに今回調査を加え,天草市(牛深・﨑津),山都町(馬見原),菊池市,球磨地域の郷土料理について報告する。