日本生気象学会雑誌
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高齢者重症熱中症271例の臨床と疫学についての検討
張 季平茅 志成
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キーワード: 疫学, 熱中症, 熱波, 高齢者
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1990 年 27 巻 2 号 p. 77-82

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抄録

1988年夏南京を襲った熱波に際し, およそ4500例の熱中症が発症し, 400名以上の重症患者が8箇所の病院に入院した.本稿では高齢者271例の重症熱中症の臨床と疫学について検討した.大部分の症例は気温が最も高い日に突然発症し, 症状としては皮膚温の上昇と皮膚の乾燥を呈した127例 (46.9%) , 体温が40℃以上のもの149例 (55.0%) せん妾や痙攣あるいは昏睡など中枢神経系の症状を呈した251例 (92.6%) であった.ほぼ半数の患者に白血球数の増加が認められたが, 血清のNa, K, Cl, Ca値は低下ないしはやや低下を示し, 2例に於いてのみ高カリウム血症を認めた.積極的な救急治療を行ったが, 死亡率は35.4%であった.

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