生産管理
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Print ISSN : 1341-528X
JIT生産システム運用時の製品在庫問題
関 信一大谷 毅
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2008 年 15 巻 1 号 p. 35-42

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抄録

JIT (ジャストインタイム) 生産システムにおける外注部品の発注は, 外注かんばん方式により管理されている。外注かんばん方式の研究は, 中島らがあるが, 外注かんばん方式により生産を行う納入元A (以下Aという) の年間総在庫コストが最小になるための解析は行われていない。JIT生産をしている納入先B (以下Bという) のロットサイズがランダムに変化する場合, Aは在庫で対応する。その場合の最適在庫量を本研究で計算する。まず過去のデータからBが発行するかんばん枚数の頻度の分布を確率分布で表し, 年間総在庫コストをモンテカルロシミュレーションで推定する。ついで毎週のかんばん枚数は過去のデータから推定した分布に従って変動するものとし, その指示に応じて生産したと仮定し, 年間総在庫コスト (製造原価+セットアップ費用+金利+倉敷料などを含む) が最小になるような, ロットサイズを推定する。その際, Aの生産量の目安としてEOQ (経済的発注量) を参考にする。そのシミュレーション結果から, Aの最適な生産量と生産開始時点を推定できる。このモデルから, Aは, Bのかんばん運用の状況を反映させながら, 在庫コントロールを行うことが可能となる。BおよびAの事例から年間総在庫コストをシミュレーションした結果, 約27%のコスト削減ができた。

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© 日本生産管理学会
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