抄録
他の先進国と比べて,我が国信号交差点の全赤時間は長めに設定されている.長い全赤時間は,利用者が信号を守る場合,より安全性を確保できるが,実際はこれを見越した強引な駆け込み侵入やフライング発進といった危険挙動を誘発する.そこで,信号切り替わり時の車両挙動の実態に見合った全赤時間を設定する必要がある.本研究では,交錯パターン,交差点の規模などによる全赤時間の設定が異なるアメリカ,日本の交差点における実測値データに基づいて,交差点内を交錯する車両のコンフリクトポイントの通過時間差を危険度指標として比較分析を行い,効率的な全赤時間設定に及ぼす影響について検討する.