生産研究
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研究速報
インドネシア・パダン市の巨大地震を想定したRC構造物の減災評価ツールの開発のための環境システムの検討
ジュリアファド エカ目黒 公郎郷右近 英臣
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2017 年 69 巻 6 号 p. 351-355

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抄録

インドネシア・パダン市では,多くの研究者によって,将来巨大地震が起こることが想定されている.将来起こりうる地震に対するリスクを軽減するためには,地震リスク軽減に向けた多くの機能が含まれた,統合的リスク評価ツールを開発する必要がある.本研究では,統合的リスク評価ツールの開発に向けて,インドネシア西スマトラ州パダン市の環境システムを明らかにする事を目的とする.まず,市役所の建物部局への建物の品質と施工管理の方法をインタビュー,グーグルストリートビューによる建物特徴の調査,建物データの分析,地域の建物に関する法令の分析を行った.これらの調査によって,調査地域の建物の50% 以上の建物が,低層から中層のRC 構造物であることがわかった.建物関連の法律の調査と実際の施工方法の調査の結果より,パダン市の地震に対する脆弱性は高いことがわかった.さらに,パダン市の43% の敷地を網羅する,パダン市特有の部落制度に関係する土地利用の問題は,建物品質の低下に関係しているものと推察される.

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© 2017 東京大学生産技術研究所
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