2020 年 72 巻 5 号 p. 377-381
温度応答性高分子PNIPAM を利用した保水性舗装の適用に向けた基礎的検討を実施した.PNIPAM を混合したコンクリートは雨水を効果的に保持し,これにより晴天時には水の蒸発に伴う気化熱で周囲の温度低下が期待される.これを「打ち水効果」と定義した.作製したセメントペースト供試体に対して,MRI による水分イメージング,日光照射実験を実施した結果,PNIPAM を混合したセメントペーストの保水効果,打ち水効果が確認された.圧縮強度と凍結融解抵抗性を測定した結果,いずれもPNIPAM の混合により低下した.一方で,PNIPAM の量と寸法を調整することで,打ち水効果を有しつつ,実用化に必要な強度や耐久性を満足できることを示す結果が得られた.