2024 年 76 巻 1 号 p. 87-93
無信号交差点では利用者が優先権に従うことで安全が保持されるが,歩行者と自動車の関係においては,歩行者優先が遵守されないことが課題とされている.特にまちなかの街路においては,交差点の周囲で路上駐停車や沿道出入が発生することもあり,歩車の錯綜状況はかなり複雑である.本稿では,近年発展が続く画像処理の物体追跡技術を活用して歩車の錯綜状況を分析することを試みる.YOLOv8を用いた物体追跡により定点ビデオ画像から得られる歩車の通過数や軌跡の精度を確認し,課題を整理すると共に,自動車通過状況別の歩行速度や自動車の横断歩道通過速度の分析を試行する.