日本生態学会誌
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特集1 外来種の定着プロセス-森林、河川、湖沼、草原に侵入した 外来種の侵略性と多様性
外来植物の草原生態系への影響と植生管理
大窪 久美子
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2022 年 72 巻 1 号 p. 27-

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抄録
本稿では人為的な圧力下で成立してきた草原、特に半自然草原や畦畔草地を中心に取り上げ、主には本州中部で代表的な草原景観を有する長野県中部の霧ヶ峰での外来植物の侵入・定着の影響と植生管理の課題について述べる。霧ヶ峰では、観光道路が建設された1970年代にヘラバヒメジョオンやメマツヨイグサ等の外来植物が侵入・定着した。その後50年近く経過した現在も、これらの種の優占が継続し、群落の組成や構造を変化させ、偏向遷移が生じていることが指摘されている。このような草原を再生するためにニッコウザサの刈り取り管理が行われていたが、草原性植物の競合種であるササを減少させる効果はあるものの、一方では外来植物の侵入・定着についても対応しなければならないことがわかってきた。さらに、20年ほど前に侵入・定着したと考えられる特定外来生物のオオハンゴンソウが特に自然性の高い高層湿原近傍や特定の地域で優占している。このような地域では霧ヶ峰の草原の保全と適正な利用を目的とした県協議会等による本種の駆除事業が実施されているが、分布の拡大もみられている。また、外来植物は草原生態系における植物とチョウ類との関係性にも影響があることが上伊那地方の水田地域での研究で示されている。草原生態系への外来植物の影響は不明な点が多く、今後のさらなる研究の進展が望まれる。
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© 2022 一般社団法人 日本生態学会

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