日本生態学会誌
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特集1 昆虫の脚と繁殖:求愛や闘争において脚が果たす役割
特集「昆虫の脚と繁殖:求愛や闘争において脚が果たす役割」趣旨説明
松村 健太郎
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2022 年 72 巻 2 号 p. 145-

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抄録

昆虫の外部形態には、形状やサイズにしばしば雌雄差が見られる。例えば、雌との交尾機会を巡って雄同士が闘争を行う種では、雄は発達した武器形質を持つ。また、派手な装飾を持つ種の雄では、より派手な装飾の方が雌から好まれる。また、昆虫ではしばしば脚の形態にも雌雄差が見られ、雄の脚が太く発達した種や、雄の前脚が長く発達している種が知られている。これらの種の雄の発達した脚は、雄間闘争や雌に対する求愛において使用されると考えられている。また、雄だけではなく、雌においても脚は重要であり、雄からの性的嫌がらせに対して雌がしばしば脚を用いて抵抗することも知られている。このように、昆虫の脚は、雌雄を問わず繁殖において重要な役割を持つ。しかしながら、脚の形態に焦点を当てた研究は、雄の角のような武器や派手な装飾と比べると、数少ないままである。筆者らは、本特集と同じ題目で、第67回日本生態学会名古屋大会(2020年)にて自由集会を企画し、昆虫の脚と繁殖の関係について紹介する予定であった。残念ながら、その自由集会は中止となったが、そこで紹介する予定だった研究内容を本特集でまとめ、昆虫の雄の脚が繁殖に与える影響について議論したい。

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© 2022 一般社団法人 日本生態学会

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