日本生態学会誌
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特集2 無神経な行動生態学
やや複雑な状況における原生生物の行動 変形体性粘菌の例を中心に
越後谷 駿西上 幸範佐藤 勝彦中垣 俊之
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2025 年 74 巻 2 号 p. 203-213

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抄録
原生生物とは、概ね単細胞性の真核生物である。単細胞生物といえども必ずしも一細胞で孤立して生息しているとは限らず、複数の細胞が集団で運動したり、構造をつくりあげたり、役割分担をしたりすることもあり、細胞間の協調はすでに認められる。とはいえ、単細胞で生活する能力は保持しており、細胞の行動能力は多様化しているといえる。彼らの生息するミクロな環境は、空間的にも時間的にも決して定常ではなく、変動著しい。たとえば、沼地に住むゾウリムシの住環境は、その体のサイズよりも大きい空間形状や小さい空間形状が複雑に組み合わさってできている。当然、他の生物の往来もあり、水流もあれば、物の流出入も絶え間ない。一方、1日の中で光環境や温度環境は変動する。このように十分複雑な住環境に対して、原生生物は、どの程度対応できるのか、またどのように対応できるかが、ここでの主題である。この総説では、原生生物の環境対応能力の高さについて、変形体性粘菌を中心に、また加えて繊毛虫にも言及して紹介する。
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© 2025 一般社団法人 日本生態学会

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